研究者とか専門家、技術者が管理職になる際に懸念されるスキルがあります。
そう、リーダーシップです!
これは実際現場にいても感じます。すごい研究をしているのに教授になりたがらない人、エンジニアリングがずば抜けているのにマネージャーにならない人、そこそこ見ていました。単に人嫌いなのかなぁくらいに思っていましたが、彼らに欠けているのはおそらくリーダーシップです。
このリーダーシップというスキルが欠けてしまう理由はいくつかあるのですが、
- 専門職では上記のように優秀な人でも管理職になろたがらない
- 管理職になった人はそもそも学校や職場で教わらない
などが考えられます。徒手空拳になっちゃうんですね。(私もそうですが)
そんな問題があり専門職のリーダーシップを調査したいわけですが、
- 本当にリーダーシップはプロジェクトの成功に必要なのか?
- 技術職のリーダーシップって一般に言われているリーダーシップとは違うんじゃない?
という課題もあります。前置きが長くなりましたが、その辺を調べてくれたナイスな研究がございましたのでご紹介。専門職や技術職でマネージャーの立場にある人はご参考にしてください。
成功しているプロジェクトマネージャーはどんな人?
というわけでいつものように論文のお話なんですが、ご紹介するのはオーストラリアで行われた研究。銀行や公益事業などで働くITチームを集めて
技術品質、
コスト パフォーマンス、
期限の遵守、
顧客、
満足度と全体的なパフォーマンス。
などの面から成功したチームとしなかったチームを判定し、そのプロジェクトマネージャーの能力を調査しました。なおプロジェクトの平均期間は 15 か月でした。 プロジェクトマネージャーの 74% が男性で、彼らの平均年齢は 39 歳IT の経験は 15 年でした。
で結果なんですが
- 成功したプロジェクトのマネージャーは、成功していないプロジェクトのマネージャーよりもリーダーシップの行動を示した。
(成功したマネージャーはリーダーシップのスキルが高かった)
- すべてのリーダーシップ スケールの中で例外による管理のパッシブスケールのみが、成功したマネージャーとあまり関連していなかった。また部下からの評価も低くなる傾向があった。
この例外による管理のパッシブスケールというのは分かりづらいですが、言い換えると「何か問題があった時に積極的になとかしようとせずに受け身がちになる」という態度のこと。確かにこれはウケが良くなさそう。。
また
- シニアマネージャーの大半は、すべてのプロジェクトの状況に適した 1 つのリーダーシップ スタイルはなく、プロジェクトの複雑さに応じて変更する必要があると感じていた。 たとえば、スケジュールと予算が遅れて最終段階にあるプロジェクトには、タスク指向(やることを明確にするスタイル)のスタイルが好まれた。 同様に、協力的なスタイルは、経験の浅いチーム メンバーに適しており、年配のメンバーには無干渉のスタイルが適していた。
ということもわかったそうです。使い分けなんかも大事なんですねぇ。この辺はコミュ力がものを言いそう。。。
まとめ
というわけで今回はIT業界におけるリーダーシップの話でしたー。要らなそうと見せかけて、やはり素晴らしいマネージャーには必要な資質なんでしょうねぇ。。最後にこの研究で使われた技術者用のリーダーシップスケールを載せておくので、IT企業にお勤めの皆様は自分の上司がどれくらいリーダーシップに欠けているか測定するのにお使いください。
技術的リーダーシップは次の項目
- プロジェクトの目標と組織の目標が確実に一致するようにします。
- 部下の自主性を満たします。
- 変更の実施に部下を関与させることにより、変更のプロセスを管理します。
- 組織の官僚主義が部下の仕事に干渉するのを防ぎます。
- アイデアを行動に変える触媒として機能することで、部下を勇気づけます。
- やりがいのある「ストレッチ」な課題を提供することにより、部下のキャリア開発を促進します。
- 問題の解決策、つまりハッキングを部下が自由に探索することを奨励します。
- 自分のアイデアを含め、チーム メンバーのアイデアを評価する際に、常にオープンマインドを保ちます。
- プロジェクトで望ましい品質基準を達成するためにタイムリーかつ効果的な手順を実行します。
- クリエイティブな取り組みをサポートするためのリソースを確保します。
- 部下の貢献に対して組織が適切に報酬を与えることを保証する。
- 上層部の決定に完全に同意しなくても、同じ熱意をもって実行する。
参考
file:///Users/hirakimasatoshi/Downloads/Identifyingkeycharacteristicsoftechnicalprojectleadership.pdf