エビデンスで教育を考えた

頭が良くなる科学論文を紹介していきます。お勧め商品は楽天ルームで!https://room.rakuten.co.jp/room_12b7a40f6d/items

佐藤ママを検証してみた2.5〜読み聞かせに親の学歴はあるのか?〜

 お受験ママのカリスマとして有名な佐藤ママこと佐藤亮子さんを検証していくコーナー2.5回目。

読み聞かせについての補足です。
前回はこちら
www.mathlikeb.com

 前回のことを要約すると、

・読み聞かせにはかなり子供に良い影響あり

・これはiPADで代用もあり

ということでした。実際佐藤ママはとても多くの本を読み聞かせをしていたようで、その冊数は1万冊に及んだとか。これに対してネットでは「佐藤ママ 異常」などの声も上がっています。まあこれは言い過ぎにしろ、佐藤ママは津田塾大学卒業後に英語の教師を務めていたという経歴があるので、自然と

「子供が東大に行ったのは、単に佐藤ママが優秀だったんじゃない?」

という考えが出てきます。今回はそこに焦点を当てつつ読み聞かせについての研究を紹介します。

読み聞かせに効果はある!しかし、

 紹介する研究はブラジルのママさんが対象のランダム化比較試験。22 の保育所に登録されている全児童を対象者に566人(86%)の実親が無作為に選ばれ、子どもの平均年齢は6.5歳となっております。親には

・読み書き能力

・識字能力

・年収や学歴、その他行動

・読み聞かせ頻度

などを調査し、これと子供の識字能力などの関係を回帰分析したんですね。で、何がわかったかというと



・識字率の高い親の81%、識字率の低い保おやの87%が少なくとも1冊の本を借りていた。
(つまり識字能力の高低は図書館に行く頻度に差がなかった。)

・ところが識字率の低い親は、高い親よりも家庭での読書率が低かった。

さらに、
・識字能力の低い親は、子どもにまったく読み聞かせをしない可能性が高いことが示唆された。


という結果が出ました。要は親に国語力がないと、そもそも子供に読み聞かせをしないんですね。これに対して別研究では、親のリテラシーが低いと読書に対する自己効力感やモチベーションが低く、家にある本の数が少ないために、子どもとのリテラシー活動が少ない可能性があるとも言及されています。

さらにさらに、
親の読み書き能力は、子どもの表現語彙(= .27, p < .001)およびIQ(= .32, p = .002)と正の相関があった。

との結果も。まとめれば、

 優秀な親が読み聞かせをしていた

というなんとも言えない結果に。。まぁなんとなくそうだとは思っていましたが。


とは言え読み聞かせ効果が薄まったことは断じてなく、

・読み聞かせによる子供の能力は、親の読み聞かせ能力や識字力とは関係なく向上する

との結果も報告されていました。

まとめ

 というわけで今回は佐藤ママ検証の補足でしたー。まあ佐藤ママは優秀だけど、読み聞かせは真似すべし!ってところは今回も揺るがないので、図書館に行って絵本をたくさん読み聞かせてあげてくださいね。

参考
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0885200620300831