エビデンスで教育を考えた

頭が良くなる科学論文を紹介していきます。お勧め商品は楽天ルームで!https://room.rakuten.co.jp/room_12b7a40f6d/items

セクシャルハラスメントは無くせるか〜進化心理学からの視点〜


 厚生労働省の調査によると近年セクシャルハラスメントに関する相談件数が増えているようです。

f:id:mathlikeB:20210117140913p:plain


 グラフの上昇時期を読み取ると

平成17年〜18年
平成23年
平成25年〜

あたりが該当しますが、これはそれぞれ

第2次男女共同参画基本計画(平成17年)
第3次男女共同参画基本計画(平成22年)

と時期を同じくしています。これは女性の社会進出に伴いセクハラが増えることを意味しています。グラフにおいて相談者の割合が圧倒的に多いことからも頷ける事実では無いでしょうか。

 それではなぜ男女が職場で一緒に働くとセクハラが増えるのでしょうか。

 実はこのことには、男女における進化的な事情があります。この事実には男女における進化的な配偶戦略があります。「進化心理学から考えるホモサピエンス」では次のような事例を取り上げています。

 男女対等を社是に掲げているある会社での話。この会社では、男性従業員も女性従業員も男女の顧客に対して、同じようににこやかに接することが要求された。このサービスは、接客のざっと四分の三については、つまり男性の従業員と男性の客、男性の従業員と女性の客、そして女性の従業員と女性の客の間では非常にうまく行った。しかし、女性従業員と男性客の間では、これが裏目に出た。女性従業員が男性客の目をじっとのぞき込み、にっこり笑って、名前を呼び「ありがとうございました」と言うと、一部の男性客はてっきり彼女は自分に気があるものと思い込み、仕事中、さらにはオフのときまで、その女性従業員につきまとうようになったのだ

(引用:アラン・S・ミラー. 進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観 )


 男女が交わる職場では、誤った判断による代償が最小限になるよう、自然・性淘汰が働きます。代償が少なければ生存や繁殖にも影響が少ないからです。


 セクハラかどうかを判断する場面では2つのタイプの誤謬が考えられます。


1、相手はその気がないのに、気があると思う場合(肯定的な誤解)

2、相手はその気なのに、そうではないと思う場合(否定的な誤解)


 この2つのタイプの誤解は、男女でどんな結果をもたらすでしょうか。

 肯定的な誤解をした男性は、相手にふられ、場合によってはばかにされ、平手打ちの1つもくらわされるでしょう。否定的な誤解をすれば、セックスをして繁殖成功度を高めるチャンスをみすみす逃すことになる。後者の代償のほうが前者のそれよりはるかに大きくなるのです。したがって、男性には、相手の女性が自分に気があるとうぬぼれる方向に性淘汰が働いてしまいます。


 一方で女性の場合、肯定的な誤解の代償(男は彼女に気がないのに、愛されていると勘違し、セックスをして妊娠した挙げ句に捨てられる)は、否定的な誤解の代償(気に入られているのに、そうではないと思い、恋愛のチャンスを逃す)よりはるかに大きくなります。


 この視点で考えれば、女性の社会進出でセクハラが増える理由がわかります。しかし石器時代と比べて、男性の代償は平手打ちでは済まないでしょうが。。


参考
厚生労働省
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h27/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-04-14.html