冒頭とは違う質問ですが、皆さんは理系の女子は多いと思いますか?
2013年のプレジデントの記事が残っていたので参照すると、リケジョは理系全体の12%なんだそうです。
なぜ理系に進学する女子が少ないか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
この男女比をもって得意不得意をノンじることなどもちろんできません。しかし割と多くの人が「理系は男」と言うバイアスを持っているのではないでしょうか。
今回はその辺をがっつり調べてくれた研究が出たのでご紹介。
かつては差があったが、、、
本研究の紹介の間に、ちょこっと背景を書いていきます。実は90年代には数学に関してジェンダーで差が出たようなんです。([1])それはやはり議論を呼びました。例えば、そもそも進学率が男女で違うんじゃない?とか、周りの偏見なんじゃないの?とかです。こういった議論が広がりすぎた、それから社会での男女差別が昔より是正されてきた、と言うのもあり、今一度大規模に調査をしたわけです。
それでは等調査のご紹介です。調査は1,286,350人からなる242の論文を精査した大規模なメタ分析となっていまして、その信用度は高いです。そこでは
・数学のパフォーマンスにおける性差の大きさ
・知識の深さではどうか
・性差は年齢で現れたり消えたりするのか
・性差には、民族や国によって違いはあるか
などまで調べています。2の知識の深さなんですが、
レベル1:単純計算力
レベル2:複合問題で、どの公式を使うかなど推論できる
レベル3:応用問題
レベル4:長期間にわたる複雑な推論、計画、開発、および思考
みたいに設定されています。単なる性差、でなくそのレベルまでもに言及しているのがナイス。
で、結果ですが
1、性差は小学校・中学校の子供ではごくわずかであり、高校ではd = 0.23のピークに達しました(男性がやや高いが、その差はごくわずか)。その後、大学以降での差は減っていき、ほとんどなくなっていた。
2、国籍での差も認められなかった。最高で白人を主とするサンプルがd = +0.13を示したくらい。
3、レベル3または4の問題を含むテストで高校の男性に有利な小さな性差があったことを示しました(d = +0.16)、ただし、効果は大学生の間で逆転し、女性の方が高いスコアを示した(d = -0.11)。(ただし、この調査結果は少数の研究)
ということになりました。つまり数学においては性差はほとんどないどころか、大学レベルだとむしろ女性の方が得意なんではないかと言う可能性まで言えたことになります。
まとめ
と言うわけで今回は大規模調査における数学の性差についてお話ししました。もし女性の方で苦手意識を持っているなら、それはバイアスの可能性があるんで安心して取り組んでいただければと思います。
[1]
https://psycnet.apa.org/record/1990-14384-001
[2]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3057475/#R27