エビデンスで教育を考えた

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アカデミックに足りないもの。

 私の先輩にYさんという47才の男性がいます。

 彼は京都大学で博士号を取得したのち、大手銀行に入行。そこで10年ほど勤務した後に自社に転職したそうです。
とても頭の回転が早いのです。扱ったことのないプログラミング言語でも、ネット記事や設計書をじっくり睨んだかと思うと、たちまち実装してしまいます。クライアントからの信頼も厚く、毎回「この案件はYさんで」とお声をいただくそうです。決して偉ぶることもなく、後輩の私がおずおずと聞くと、自分の手を止めてまで調べてくれます。そして必ず答えがかえってきます。

かれの待遇

 しかしながら、彼の社内評価は私とあまり変わりません。容姿や年齢、性別、人種などの要素以外で彼に足りないものはなんでしょうか?


 もう一度Yさんの特徴をあげると、彼のように、

頭が良い
社外からの評価も高い

人なのに、あまり社内での待遇が良くない人です。いったいなぜ評価が上がらないのか。。。



 真っ先にあがるのが


社内の評価システムが良くない


ということです。(私も少し思っています笑)ですが、こちらをすぐに改善する事が難しいのは皆様のお察しの通りです。


 で、長々の導入になりましたが、「採用基準」という本を読みました。マッキンゼーで採用を何年も勤めた方が求める人材像をシンプルに突き止めた本です。少し古いですが、その内容は今読んでもためになり、5年は使えそうな普遍性があります。

採用基準

採用基準

  • 作者:伊賀 泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


リーダーの定義

 さて、結論から書くとマッキンゼーが欲しい(というかほとんどの会社)のは以下の3つの能力がある人です。それが


頭が良い

リーダーシップがとれる

英語ができる


の3つです。で、先のYさんに足りないのがこのリーダーシップです。

 ここで言うリーダーとは


「集団の中で、集団目標に向かって行動する人


のことです。

リーダーの4要素


ところで、一口にリーダーと言っても、どんな役割なのでしょうか。著者によるとそれは


1目標を決める

2先頭を走る

3決める

4伝える

です。これをみていきましょう。


1目標を決める
 リーダーは目標に向かう人なので、目標を決めねばなりません。

しかし、たとえ目標を決めても「お前やれよ」では「偉そうに、、」と反発を買うでしょう。そこで、

2先頭を走る
 
が必要になります。

先頭を走ると言うのは、研究とかアカデミックだと未解決の問題に取り組むことに似ています。そこは人類が誰も解決したことない問題なので、当然ながらGoogleでも答えは知りませんし、誰に聞いても分かりません。そこでのアプローチは、とりあえず仮説をたてることが大事になってきます。それが本当に証明できるかはさておき、「これこれは、こうしたらこうであろう」と、大胆にポジションを取ります。(話はそれますが、多くのアカデミック出身にはこれが足りません。Yさんは頭が切れますが、先頭を走れないのです。大学は近大のように、あえて「日本のアップル!」と言って先頭を走ることが求められてくるでしょう。)ポジションを取るということは、選択を迫られます。つまり、

3決める

ということに直結します。間違ってても修正すれば良いんです。もちろん、間違うリスクはつきものですが、このリスクをとれるかもリーダーシップには必要なのでしょう。

 数学研究なんかはけっこう孤独にやりますが、集団にあっては仮説は共有するものです。目標も同様ですが、一人でなし得られることはたかが知れてます。なので共有します。おそらくキーポイントは


その目標がこの集団でどのような利益を生むのか

この仮説が正しければ、どれだけ目標に近づくのか

この行動に協力してくれると、その人にどんな得があるのか


こういったことを説明できるプレゼン力はとても重要です。もちろん文書作成力も含めてです。

まとめ

 自分で書いておいて中々私も反省することが多いのですが笑、今回はリーダーについてまとめてみました。日本の教育にはすっぽり抜けている部分なんで、本書でしっかり勉強したいところであります。転職の本を読んでたつもりでしたのでいろんな意味で参考になりました。ぜひぜひ一読を!


採用基準

採用基準

  • 作者:伊賀 泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)