エビデンスで教育を考えた

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他人事ではない非行少年たち

 少し気に入らないことがあると、ぶちきれて暴れまわり、強化ガラスにヒビが入る、、、
 
そのような非行少年にケーキの絵(円)を見せて「このケーキを3等分してください」というと、できないそうです。とりあえず半分に切ってしまったり、横一列に無計画に切ってしまったり。「ケーキの切れない非行少年た」には社会から見捨てられたといっても過言ではない未成年の過酷な現場が書いてあります。
 

 

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

 

 

 
 
 
 こういう非行少年には、確かに非虐待歴やIQの低さがある人もいたそうですが、それ以上に共通点があったそうです。それは認知機能の弱さです。具体的には
 
 
認知機能の弱さ
見たり聞いたりができない。短い文章を復唱できない。
 
感情抑制
すぐにキレる。
 
融通の利かなさ
思いつきでやってしまう。自分の解決に固執する。
 
自己評価
問題点がわからない。自信がありすぎる。あるいはなさすぎる。
 
対人スキル
集団行動ができない
 
身体的に不器用
力加減ができない、からだの使い方が不器用
 
などの共通点が見つかったそうです。この兆候は小学校2年生から見られるようです。こうした子供たちが大人になってしまうのは、「協調がない。座ってられない。」とだけで片付けられてしまい、学校や親からも反省だけを強いられて大きくなるからです。しかしながら、「ちゃんとしろ」とだけ言われても多くの場合は本人に伝わらりません。その結果どうなるかと言えば、例えば体の使い方が不器用なまま大人になると、本人はじゃれていただけなのに相手の頭蓋骨を陥没させてしまった、という事態になるそうです。
 
 
 

対策

 
 こうした少年たちには認知行動療法に基づいた介入は大事ですが、この認知行動療法は認知に問題がないことが前提ですのでいきなりこれで介入しても効果が乏しいそうです。そこでこちらの簡易版での訓練をしたところ、かなりの改善が見られたんだとか。

 

CD付 コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング

CD付 コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング

 

 

 
 この教材で1日5分を数ヶ月行い、さらに自己の気付きと自己評価の向上を図ります。具体的には
 
漢字を学ばせて字を読めるようにする
被害者手記などを読んでもらう
 
などです。これにより
 
新聞が読めるようになった。もっと読みたい!
(被害者手記を聞いて)自分がされたら許せないと思う。自分のやったことが怖くなった。
 
という意識が増えたようです。
 
 この本から私たちが実践しないといけないことは、ちょっと困った子供たちを頭ごなしにしからないことです。そして、それがたとえ自分の子供でなくても、見て見ぬふりをしないことです。いつか自分が突然被害者になりますし、少年たちも被害者なのかもしれないのですから。