虐待については結構無視できない問題になりつつあります。
というのも、日本においては虐待の報告件数が年々増加しているからです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302913.htm
ここには2つの問題があります。
1つは、単純に虐待をする親が増えたこと。もう1つは、虐待の定義が狭いことです。
順に書いていきましょう。
最初の問題ですが、虐待をする親は増えているようです。これは国によっても原因が違いそうで、一概には言えないのですが、堀江貴文さんの著書曰く、「望まない妊娠」が原因の7割をしめるようです。
(2次情報なのでまた調べます)
この問題に対する答えとして、避妊やアフターピル、定期的な産婦人科への検診を挙げているのは堀江さんらしいな、と。これらは確かに大切です。
また、地方自治体や児童相談所の設置により発見しやすくなったことも要因として挙げられます。先の文科省のリンクに入っていただけるとわかるように、文科省は虐待の発見のためにこういった自治体の協力をその方針として掲げていることがわかります。この児童相談が機能したのかはともかく、結果として報告数は増加したようです。これ自体に異論はないのですが、一科学者としては、「虐待の定義」にも問題を感じます。
定義に異論をする前に、一応法律上の虐待の定義を載せます。
(児童虐待の定義)
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
この4つ自体はどれも妥当性がありますが、この法律ができたのは何と平成12年。どうやらそこから変わっていないようです。これらの一から四は「身体的虐待」と呼ばれます。一方で教育の分野では、四の最後、「児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」が注目を浴びています。
長くなりましたが、この部分が今回のテーマである「感情的虐待」です。
感情的虐待とは「親が子供を主に統制するために軽蔑、非難、脅迫、恐怖、差別、嘲笑、その他の物理的でない形態の拒絶を行うこと」
と言われます。海外では、直接的な暴力を受けたわけでもないのに、ドラックや自殺衝動に駆られる若者が増えているようです。研究の結果で、これらを身体的虐待と区別して感情的虐待と呼んでいます。
この種の虐待が難しいのは、「身体的な暴力でないこと」です。外傷がないために発見がしにくく、被害者の当人ですらそれと分からずに大人になってしまうことが多いようです。そして御察しの通り、日本の法律では、これは虐待ではないために、感情的虐待は野放しになっています。冒頭で定義が狭すぎると言及したのはそのためです。
次回以降は、この感情的虐待でどうなってしまうのかを見ていきましょう。
参考
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3507962/