数学不安というのを覚えていますでしょうか。
すごくざっくりいうと、「数学に対する拒絶反応のこと」でして、これについてのお話や、その対処法なんて話も書きました。
この数学不安は主に中学生のうちには広がり始めて、ほっとくとだんだんと悪化してく様なんです。ですので大切なのは早めに見つけることと、その対処療法。
前回の記事では、筆記開示というテクニックを用いたのですが、まあ一時的な対処法なんで、なんとかならんもんかとは考えておりました。
今回はその辺をアレが解決してくれかも、という話と、「数学不安はいつから始まるの?」というお話をば。
ワーキングメモリーとの関係が!
今回の調査はアメリカのテンプル大学がおこなったもので、人口の多い地区の公立小学校の児童を対象に行われたもの。小学校1、2年生162人を対象に、ワーキングメモリーと数学不安、それから成績を測り
どういう順序かというと
読書力テスト
数学テスト
ワーキングメモリーテスト
で行いました。
その結果は
・小学校1、2年生でも数学に不安を感じていた!
・この数学不安は、家族の収入とは相関がなかった(つまり高収入の家庭でも、子供が数学に拒絶反応を起こすことはありうる)
・ワーキングメモリーが高い人ほど不安は低い!
となりました。小学校1年生からでも起こりうるので、ここは新しい発見です。子供の数学に対する反応はつぶさに観察ください。また、やはりですがワーキングメモリーが不安の抑止に効果がありそうです。鍛えておきたいところですね。
さてここまでなら、「小学校から認知力を鍛えよう」で終わる話なのですが、手放しでワーキングメモリーを褒めるわけには行かないのが面白いところ。というのも
・高いワーキングメモリーのスコアを出した子で数学不安を抱えている場合、ワーキングメモリーが低いグループよりも成績が落ち込む。
という結果が出てしまいました。この原因が何かはわかっていないのですが、
「認知能力が高すぎて、不安に対して色々考えすぎてしまうからじゃないか?」
との仮説が立っております。時頭が良いのも困り者です。
まとめ
というわけで、数学不安は小学校に上がった時から意識しましょうというお話でした。どうやって見極めるかも上の記事に書いたので、その質問票でそれとなく子供に質問すると良いかもです。また、ワーキングメモリーも万能ではないので、適時筆記開示のテクニックもお使いくださいませ。
参考
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/15248372.2012.664593