文科省の事務次官が2代続けて処分された。
「文科省がなにやっているんだ!」と憤った人も多いだろう。しかし、実はそんなあなたも、おそらくずるをする。
ヒトは選択をする時には選択から得られる利益を考える。それがたとえ良い行いと悪い行いの天秤であっても。そんな切ない事実を、ダン アリエリーは実験であぶり出す。
被験者は20問の簡単な問題を解かされる。1問正答につき5セントの報酬がもらえる。
違いはここからだ。
被験者の半分はその後普通に正答数を数えられて早秋を受け取るが、もう半分は
「 これで試験は終わりです。 正答した問題の数を自分で数え、 作業用紙を教室のうし ろにあるシュレッダーで破棄してから、 正答数をわたしに教えてください」
すると、御察しの通り、多くの人間がずるをした。まわりがばれないようにお膳立てすれば、ヒトはずるをするのだ。この事務次官もそうだったのだろう。
この実験には続きがあって、それは「報酬を増やせばもっと豪快にずるをするの?」という疑問に答えるもの。
じつはこれは大方の予想に反して、報酬を増やそうがあんまりずるをする金額(この実験では正答数)は増えなかったのだ。報酬を増やそうが、だいたい2割り増しくらいのずるだったそうだ。
つまり、ヒトはちょこっとずるをする。
この度の不祥事も、その内訳は会合費やタクシー代として6万2千円分。これはおそらく、毎回ちょこっとずつもらっていたに違いない。
ではなぜこんなせこいことをするのだろうか?
それは冒頭にも書いたように
「ちょっとのずるのほうが自己正当化しやすいから」
に他ならない。社会的地位など関係ないのだ。
参考