いわゆる認知科学(あるいは認知心理学)は、コンピューターサイエンスの発展とともにかなり重要になってきた学問。その成果は数学のみならず様々な分野での応用がありそうなんで、結構注目しております。認知科学のテーマには
記憶
注意
学習
知覚
言語処理
問題解決
などがあり、多岐に渡った研究がなされております。
今回はそんな認知科学の「実行機能(Executive functions)」についてメモ。
実行機能が持つ3要素とは?
実行機能とは、ざっくり言うと
「思考や行動の制御」
を司る認知プロセスのこと。これが結構数学などの比較的高次な認知機能や創造性において重要なよう。その辺の関連は次回以降に書いていきます。今回はその実行機能は、さらに3つの要素があるよーということを書いていきます。
その3つの要素とは
更新
シフト
阻害
の3つ。順に説明していきます。
・更新(Updating)は、一言で言うと、
脳内情報の置き換え
のこと。頭の中の不要な情報を、現在のタスクに関連して新規かつ関連性のある情報に置き換えることによって、入ってくる情報のバージョンアップを監視することが役割。感の良い人は御察しの通り、ワーキングメモリーと結構関係があります。測定をするのに使われるn-back課題とかは脳トレにもかなり有力。
・それに対してシフトとは、
タスクとかメンタルの切り替えプロセス
のこと。与えられたタスクを取捨選択したり、その際の「今日の晩御飯は何にしようかなー」みたいな心理的フレームを取り除いたりする働きがあります。実験とかで測定する際は、与えられた2つの文字を決められたところに当てはめていく(8Gなら右上、7Aは左下)ことで測定していきます。
・最後の阻害は、
優性であるが無関係な応答傾向の抑制
として定義することができます。よく知られている阻害課題は自動応答を生成する傾向を抑制することを必要とするStroopタスク。緑色で書かれたstopでちゃんとボタンを止められるとか(普通、とまれは赤)。
とまあ、実行機能には3つあって、それぞれの測定方法なんかを合わせて書いてみました。次回以降で、それが脳機能のどんなものと相関があるのかとか、どう鍛えていけば良いのかなんかのお話を書いていければと思います。
参考